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地域の信仰の対象として代々受け継がれてきた仏像。いつの時代でも修理が行われて次の世代へと受け渡されてきました。現代の受け渡す役割を担っているのが、仏像修復師。新潟の工房で修理を続けている松岡誠一さんに仏像の修復について語っていただきます。

(06)「仏像の時代の見分け方(1)」

2019-08-22

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秋も深まり、冬の訪れを感じる季節となってきました。木々も色とりどりに紅葉し始めています。

今回は仏像の時代の見分け方(1)として、「耳の造形」を取り上げてみます。

私達が仏像の時代判定をするときに色々な部分を見ますが、私の場合、特に耳を見ています。代表的なものではないかもしれないですが、修復や調査で関わった御像の耳の造形を並べてみました。

なかなか言葉で表すのは難しいので、写真で違いを感じていただければ幸いです。

10世紀.jpg10世紀の耳
11世紀.JPG11世紀の耳
12世紀.jpg12世紀の耳
13世紀慶派.JPG13世紀慶派の耳

10世紀の耳:巻き毛が耳に懸かっているのも古様です。耳の背側が割合まっすぐで、耳朶(みみたぶ)が四角い感じ。

11世紀の耳:鬢髪が耳を渡り、耳の背も直線的、耳朶も角ばっています。この像はちょっと素朴な感じの御像ではありますが、こういう耳を見ると、古様を感じます。

12世紀の耳:耳朶の背側が少し湾曲してきます。

13世紀半ばの慶派の耳:より細かく写実的に造形してます。対耳輪もしっかり襞になっています。耳朶が後にちょっと反る感じ。。

14世紀院派.JPG14世紀院派の耳
16世紀院派.jpg16世紀院派の耳
江戸後期.jpg江戸後期の耳

14世紀の院派の耳:写実的でありながら、耳朶の先がぽっちゃりしています。

16世紀の院派の耳:これは、代表的なものではないかもしれないですが、この時期はちょっと古風だったり、面白い耳の御像も多いです。

江戸後期の耳:耳の穴の造形が形式化して、ちょっとぽっちゃりめの耳朶が正面に向いてきます。耳朶の反りは大きいものも。

どうでしょうか、仏像を拝観する時、ちょっと横顔を覗いてみるのもいいのかもしれません。

松岡誠一:仏像修復家。先祖が信仰し守ってきた仏像・神像を次の世代に手渡すために修復を行う他、被災した御像の応急修復ボランティアや地域の文化財の保存を支援する活動など。活動は幅広い。東北芸術工科大学(山形市)芸術学科 文化財保存科学コース卒。連絡先は下記リンク参照。
仏像の修復ホームページ
地域歴史文化財保存支援ホームページ

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その六 カフェ ヴィオロン

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その七 noma

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その八*番外編 スターネット大阪~かぐれ

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その九 菅藤造園

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その壱拾 洛風林