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地域の信仰の対象として代々受け継がれてきた仏像。いつの時代でも修理が行われて次の世代へと受け渡されてきました。現代の受け渡す役割を担っているのが、仏像修復師。新潟の工房で修理を続けている松岡誠一さんに仏像の修復について語っていただきます。

(07)「仏像の目」

2019-08-22

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寒さも増して、新潟でも山の方で雪の便りを聞くようになりました。お地蔵様も冬支度。

今回は「仏像の目」について書きたいと思います。仏像を拝まれる時にはかえって知らない方がいい余計な知識なのかもしれませんが、この技法、かなり優れた技法なんで、ちょっと知っていただきたい。

仏像の目には、平安時代の末期に「玉眼」という技法が発明されて、鎌倉時代以降は、盛んにこの技法が使われます。
現在残されている御像では、奈良の長岳寺様の阿弥陀三尊像(仁平元年=1151)が一番古い例とされています。

この技法、お顔の内側から水晶を嵌めて、仏像の目に実体感を出してくれます。
今回は、後世に片方の目が、ガラスの玉眼を嵌められていた御像の修復工程を見つつ、玉眼の技法について知っていただければと思います。

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まず、水晶でレンズ状のものを作ります。(修復では、上の木型を作って、それに合わせて加工してもらいます)

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目に嵌めて、漆木屎で固定したら、内側に黒目を描きます。黒目の周りは朱で括ります。

目頭と目尻に青い紙を置いて、涼しげな眼になるような表現を行います。(不動明王などには赤い紙を置いて、血走った目にします。)

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そして、白い紙を置きます。これが、正面から見ると白目になります。

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抑え木で動かないように押さえて、竹釘で留めます。

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これで完成。
このような技法が、小さい御像でも行われています。

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この技法、鎌倉時代以降によく使われるので、時代判定の目安にもなりますが、たまに、後の時代に嵌められたものもあります。写真は平安時代の御像ですが、後世に彫眼を削られて前から玉眼を嵌められてしまっています。そのくらい流行った技法なのだということが分かります。確かに目に迫力が出ます。

御像を拝観する時は、この技法のことは忘れて、手を合わせて下さい。ちょっと余計な話でした。

松岡誠一:仏像修復家。先祖が信仰し守ってきた仏像・神像を次の世代に手渡すために修復を行う他、被災した御像の応急修復ボランティアや地域の文化財の保存を支援する活動など。活動は幅広い。東北芸術工科大学(山形市)芸術学科 文化財保存科学コース卒。連絡先は下記リンク参照。
仏像の修復ホームページ
地域歴史文化財保存支援ホームページ

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