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地域の信仰の対象として代々受け継がれてきた仏像。いつの時代でも修理が行われて次の世代へと受け渡されてきました。現代の受け渡す役割を担っているのが、仏像修復師。新潟の工房で修理を続けている松岡誠一さんに仏像の修復について語っていただきます。

(08)「仏像の表面」

2018-12-10

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 こちら田上町では、12月初めにこんな風に、たくさん雪が降りましたが、今は屋根の雪もほとんどなくなり、なんだか気の抜ける2月となっています。

 今回は、木で彫られた仏像の表面の、様々な仕上げ方法をまとめてみます。


1.漆箔(しっぱく)
・漆錆下地漆塗り漆箔:
 木彫の上に、布貼りの上もしくは直接、漆錆下地、漆塗り、漆箔を行います。かなり堅牢な表面処理です。写真①は鎌倉時代の漆塗膜。古い漆塗膜特有の断文が出て、います。鎌倉時代まではここまで手間をかけた御像が多いです。

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・膠下地漆塗り漆箔:
 近世以降は、木彫の上に、膠で溶いた白色下地を施した後に漆塗り漆箔を行う技法が多くなります。漆錆下地に比べて弱いです。

 そして、一口に黒漆と言っても、中世までは、漆の中に松煙・油煙などの墨の粉を混ぜ込んだ、「掃き墨漆」で、現在使われるような鉄分に反応させて黒くした塗り漆を使うのは近世になってからのよう。造像当初の塗膜かどうかの判断材料になります。

2.彩色(さいしき)
 膠で溶いた顔料で色を塗る技法です。古い時代には、布貼り、漆錆下地、漆塗り、白色下地、彩色と手間をかけました。これだと、木の動きに影響されにくく、彩色もよく残ります。
 膠で溶いた白色下地には、奈良時代には鉛白、平安~鎌倉は白土(カオリン)、近世以降は貝殻胡粉が使われる傾向があります。(奈良時代の正倉院宝物の伎楽面に胡粉が使われている事例もあったり、イレギュラーもあるので、注意が必要ではあります。)近世には素地に直接白色下地を引いていることが多いので、劣化して剥がれやすいです。脆弱化した彩色を扱うのはちょっと大変です。

3.截金(きりがね)
 熱で数枚の金箔を貼り付け、細く切って膠で貼り、細かい文様を施す技法です。写真②の中でも使われています。

4.土紋(どもん)
 写真②にも使われている、土を型抜きした文様を衣部分に貼り付ける技法。鎌倉時代の鎌倉地方周辺にのみ見られる特殊な技法です。私は、漆分が混じっているはずだと考えています。まだ謎な部分が多い技法です。

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5.金泥(きんでい)
 漆を薄く摺り、金の粉を蒔く方法。金箔を貼るのとは、光沢が違います。肉身部分は金泥蒔きに、衣の部分は漆箔や截金にするというように使い分けていました。彩色技法の中では、膠と金の粉を混ぜ加飾する方法をいい、写真②では土紋に塗られています。

6.錆絵(さびえ)
 漆錆下地を盛り上げて加飾する技法です。厚いと漆が乾かなくなったり、結構難しいはずです。写真②の蔓の茎の部分はこの技法かなと思っています。

7.置き上げ彩色(おきあげざいしき)
 錆絵よりも簡便な技法で、膠で溶いた白色下地で文様を高く盛り上げる技法もあります。南北朝時代以降、衣の文様によく見られます。剥落しやすいです。

 このように仏像の表面は加飾されています。まだまだ分からないことも多く、昔の人の技術力の高さには驚かされます。

松岡誠一:仏像修復家。先祖が信仰し守ってきた仏像・神像を次の世代に手渡すために修復を行う他、被災した御像の応急修復ボランティアや地域の文化財の保存を支援する活動など。活動は幅広い。東北芸術工科大学(山形市)芸術学科 文化財保存科学コース卒。連絡先は下記リンク参照。
仏像の修復ホームページ
地域歴史文化財保存支援ホームページ

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