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地域の信仰の対象として代々受け継がれてきた仏像。いつの時代でも修理が行われて次の世代へと受け渡されてきました。現代の受け渡す役割を担っているのが、仏像修復師。新潟の工房で修理を続けている松岡誠一さんに仏像の修復について語っていただきます。

(10)「文化財を守るには、材料と古典技法も守るべき

2018-08-20

冬支度も進んでいます.JPG

随分間が開いてしまいましたが、また再開させていただきました。仏像修復にまつわるあれこれをつぶやいていきます。

仏像修復をしていて困るのは材料が入手しづらくなってきている事です。今回はちょっとその例を。

桧材.JPG


●ヒノキ材
修復の際に部材を新しく新補する場合には、ヒノキ材を使います。特殊な場合を除いてだいたいヒノキ材です。これは、ヒノキ材が、害虫にも強く、乾燥しているものが手に入りやすく、比重が軽くオリジナルに負担をかけない、色味が淡く調整しやすい、冬目と夏目のコントラストが少ない。などが理由です。
その中でも、一番良いのが、木曽桧とか、尾州桧とか言われるもの。現在では取りつくされつつあって高価なものになっています。修復には端材まで使い、ノコギリ屑も漆木屎に混ぜて使いきります。

●漆
昔、漆は、様々な地方でも育てられていました。漆器が使われなくなって、各地の漆器産業が斜陽になり、手をかけてやらないと育たない漆の木は無くなっていきました。国産の漆を産出するところは非常に少なくなりました。中国産の漆よりもウルシオールという成分が多く、固く、艶のある塗膜を作り出します。仏像修復には欠かす事の出来ない素材です。



様々な膠.JPG    いろいろな膠

●膠(にかわ)
和膠は、獣や魚の骨や皮を煮て抽出するコラーゲン分です。古来からこれを接着や顔料に混ぜて彩色に使ってきました。掛け軸で曲げたり伸ばしたりに耐えられる柔軟な膠を使ってきました。でも数年前には一か所でしか作っていない状態になり、そこがやめてしまって、一回これが断絶してしまう事態になりました。現在では数社が復活させてくれていてなんとか使う事が出来ますが、使わないとまた断絶してしまう事態になります。洋膠では代替え出来ないし、韓国では断絶して久しい。守りたいものです。


●顔料
古来からの絵の具は主に鉱物をすり潰した顔料で出来ています。(植物や虫由来のものある)最近はチューブ入りの絵の具で制作する人が増えましたので、需要が減っています。


●和紙
仏像修復では材料としてはそんなに使わないですが、和紙も見直すべき素材。洋紙に比べて繊維が長くて丈夫なのです。この上質な紙があってこそ日本の文化は成り立ってきました。でも上質な和紙、様々な性質・配合の和紙が手に入りづらくなり、修復材料に困った装潢師は自分で紙を漉きはじめました。

このように、修復に使う材料は手に入りづらくなってきています。どんどん使ってもらって需要を高めないと材料を作っているところも成り立っていきません。文化財を守るにはこっちも守っていかないと。

私のように古い文化財を修復していると、新しい素材を使うよりも、古典技法の方が長く保つのを実感しています。合成樹脂で彫刻を作っても保つ時間はたかが知れています。合成絵の具では1000年は保てないでしょう。

作家さんにはちょっと扱いは面倒ですが、古典技法で制作してもらって、材料使ってもらいたい。そうすれば、材料も技術も残っていく事になります。






松岡誠一:仏像修復家。先祖が信仰し守ってきた仏像・神像を次の世代に手渡すために修復を行う他、被災した御像の応急修復ボランティアや地域の文化財の保存を支援する活動など。活動は幅広い。東北芸術工科大学(山形市)芸術学科 文化財保存科学コース卒。連絡先は下記リンク参照。
仏像の修復ホームページ
地域歴史文化財保存支援ホームページ

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その六 カフェ ヴィオロン

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その七 noma

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その八*番外編 スターネット大阪~かぐれ

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その九 菅藤造園

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その壱拾 洛風林