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皆さま この花ご存じですか

田中 孝(摘み・活け・撮り・語る)




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(29)姥百合(ウバユリ)




テーマは姥百合にした。実は姥桜、すなわちぼくの女友達とののろけを書きたかったが、「目の眼」は人間の骨董品の話は埒外だという。つれないなあ。
 7月中旬から8月にかけて、山の林中を歩くと、姥百合にしばしば出遭う。珍しい花ではない。ぼくは蕾を活けるのが好きだ。左の写真をご覧下さい。はちきれんばかりに元気満々である。(根締めは高砂芙蓉)
 これが咲いてみると、蕾の元気はどこへやら。百合につきもののラッパ口がろくに開かないのだ。歯抜け婆さんの口元そっくりである。命名の由来だろう。
 姥百合の名誉のため、一言二言添えておく。何しろ元気な植物である。暑い折りだ。大抵の花は数日で枯れる。姥百合は葉は枯れても絶対花を咲かせてみせる。左下の花は上の写真の蕾が、ほぼ3週間余りで咲いたものなのだ。いまひとつ、秋の実がいい。晩秋の残花に添えると、侘びた風情ひときわである。
 器は中国陶で最も古いと言われる彩陶にした。いわゆるアンダーソン土器である。今は古典と言っていい小山冨士夫さん著『壺』(淡交新社1965年刊)によると、彩陶は東博に5、6点、五島美術館に1点と数え上げながら、吾が国にはどんなに多く見ても5、60点と述べている。稀少品である。
tanaka2015-08-3.jpg バブルの頃、それが百万円を切ったという。飛びついた。1点また1点と買い進み、4点まで買うと、半値になっている。ところが間もなく、その半値、またその半値。あきれた値下がりである。畜生っ!!
 今度生まれ変わったら、畜生を畜妾に変えてみせるぞ。見とけ、ぼくのお手並みを。(福岡市在住)

note:左下写真、上の蕾が花開きました。これ以上、ラッパは開きません。まだ蕾が3本見えます。なかなか元気旺盛です。