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野辺の民藝

田中 孝(摘み・活け・撮り・語る)

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(2)李朝 石の火鉢


 ぼくは韓半島に行ったことがない。だから自分の目で確かめたわけではないが、禿山が多いそうだ。ムソルグスキーの「禿山の一夜」は、シベリア鉄道の全通を祝って、ムソルグスキーが韓半島まで足を伸ばした折の印象を描いたものである。
 えっ! お前ボケたな。シベリア鉄道全通はムソルグスキーの没後だぞ。お前、本当に石頭だな。石なら毛が生える余地がない。禿坊主のお前が、一夜妄想にふけると、こんな嘘っぱちも飛び出すのだな。
 ま、ムソルグスキーなんて、どうでもいい。禿山が多いということは、石材に恵まれていることになるに違いない。韓国には石で造った日用雑器、すなわち民芸品が多いのだ。鍋、釜から火鉢や酒注ぎなど、実に種類も色々あるようだ。
 今のシーズン、日本でも鍋物には土鍋が愛好されている。石の釜でご飯を炊けば、さぞおいしいご飯ができるだろう。石の酒注ぎで燗をつければ、なかなか冷めないに違いない。もとより、石を彫って器を造るには、陶磁や金属に比べて何倍も手間をくう。だから、石の作品は高価だったと思われる。でも、それだけの価値は十分にあったのだ。
 これらの優品を日本民芸館で見た時の印象は、ぼくの心の中にしかと焼きついていた。でも、なかなか手に入らないのだ。写真の火鉢と東京の民芸店で出会えた時は嬉しかった。迷わず求めた。
tanaka2016-02-3.jpg 花は千両と寒桜。寒桜は冬に咲くのがありがたいが、春の桜に比べてずっと蕾が少なく映えない花だ。根締めにはオレンジ色の実をつけた千両にした。珍しいが冴えない。実は、2月は年間でいちばん花が乏しい時なので、ご勘弁いただきたい。(福岡市在住)