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野辺の民藝

田中 孝(摘み・活け・撮り・語る)





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note
この器、中国では呼称があるのでしょうか
私が道具屋から聞いた説明では、酒の保温器
中にすっぽり入る錫器に熱い酒を満たして、出先で呑むものだそうです。
材質は堅く、紫壇より色が黒いので黒檀だと思います。
彫刻や形状から察して中国ですね。
同じようなものが沖縄(琉球)にも渡って作られました(写真下)。
沖縄ではこの形ばかりのようで、「タークー(湯庫)」と呼び、
魔法瓶のようにお茶を保温するものとの説明があります。
漆細工で、朱色と彫刻が美しいものが多いようです。

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(6)中国の酒の保温器


 ぼくの15歳の青春は「一億総動員法」で見事に打ち砕かれた。20歳の夏は「一億総懺悔」だってさ。何を懺悔しろというのか。級友は大陸に、南海に、散っていった。ぼくだって学徒動員で軍需工場で働き、お蔭で大空襲で九死に一生を得たんだぞ。懺悔するのは政府側じゃないのか。
「一億総○○」からは卒業したと思っていたら、今度は「一億総活躍」だって。91歳老に、何をしろっていうの?
 今回の「一億〜」のひとつの主眼は、かつて「寿退社」とかいって辞めさせた女性社員を、辞めなくていいようにして、元気で働かせようという腹づもりらしい。
 いま吾が家に来ているヘルパーさんたちは、寿退社組も少なくなさそうだ。男まさりによく働く、元気溌溂な人たちだ。
 ヘルパーさんが交替すると、ぼくは新人に一服点てて、もてなすことにしている。ちょうど今月ひとり替わったので、「一服献上しましょう。銀座・空也の最中がありますよ」と誘ったら、ピシャリと断られた。「私はお酒。甘っけは駄目です。お酒に限ります」。男まさりの本筋である。
 人みな嬉しいにつけ、悲しいにつけ、まずは一杯。遊山ともなれば、温かい酒は欠かせない。ところが、花の頃や紅葉の頃は寒い日も多い。そこで、熱燗が冷えないように、昔の人は木の断熱性を利用する工夫をした。
 写真の木の桶に、隙間なくすっぽり嵌る錫の徳利を入れ、それに酒を満たして出かけたという。まあ、一升は入りそうな大きさだ。
tanaka2016-05-31-2.jpg 安倍総理に進言する。酒一升一億本を、全国民に配布しなさい。酔っぱらって気が大きくなり、モノは売れ、景気もよくなる。マイナス金利より確実に効果大だ。(福岡市在住)