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目の眼オンラインレポート

東日本大震災 益子の復興・再生への道
2011年4月3日取材

P3282669b.jpg           益子参考館の浜田庄司が使っていた塩窯はほぼ全壊。撮影 濱田琢司

3月11日に起きた東日本大震災における被害は、連日の報道で知られていますが、実は北関東の群馬・栃木・茨城の焼物産地でも甚大な被害が出ているとの情報を得て、益子に行ってきました。
 町内の登り窯はほとんどが潰れ、それ以外のガス窯、灯油窯でも被害がひどく、特に濱田庄司の遺品を中心に保存されていた益子参考館は大打撃を受けていることを早い時期に聞いていた。前日の余震で水戸線は運休。宇都宮からバスで益子に入ることにしたが、バスは震災の翌日から運行されていたという。益子までの約一時間、益子町に近づくにつれて屋根瓦にブルーシートがかかる家が見えるが、3週間が過ぎたということもあり、表面上は平静に見える。


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まずは益子参考館へ。もちろん閉館中であるが、中では後かたづけの作業をしているようだ。大谷石で作られた堅牢な建物にもヒビが入り、痛々しい。










P3282686b.jpgレンガを組んだものなので損傷が激しい。撮影 濱田琢司 濱田庄司の孫・南山大学准教授の濱田琢司さんからのレポートによると、
○大谷石による展示棟(2号館・3号館):壁に亀裂が入るなど大きな損傷。落下した壁材により,展示品損傷。
○庄司が使用していた塩窯:ほぼ全壊。
○庄司が使用していた登り窯(町文化財):一部損壊。
○長屋門の展示棟(濱田庄司館):土壁の落下・亀裂。町文化財の庄司作大皿,河井寛次郎作の型皿,加守田章二作の皿など損傷。
○その他,庄司作品を含み,3000余点の収蔵品のおよそ4割が損傷。
という。



□□P3272630c.jpg大谷石の展示棟も被害が深刻 撮影 濱田琢司

現役で作陶している濱田窯の方でも,登り窯,塩窯などが被害をうけたこともあって,濱田家自力での益子参考館の再生はきびしい,ということを伺った。そのため、「益子参考館震災再建基金」という募金事業を始めるそうだが,発起人などの調整をしているため,正式な発足はもう少し先になるということだ。
IMG_1233b.jpg壊れた器が一ヶ所に集められていた
 また、今回の地震で割れた益子の陶芸家や窯物を、益子陶芸美術館近くの敷地に集めたやきもの山を見て絶句した。素焼きのまま割れたものの山、施釉されたものの山、それから白い山は石膏型の割れたもののの山である。たまたまそこに来ていた知り合いの作家もいた。

 この3週間後片づけに追われる一方で、益子焼復興支援センターが設立され、復興基金「MPF(Mashiko Pottery Fund)」という義援金も集まりつつある。それらがどのように復興に使われるのか、今年の陶器市は行なわれるのかなど、今後の動向にも注目したい。(目の眼編集部)

陶器市など益子の情報は益子町観光協会