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目の眼オンラインイベントリポート

2011ザ・美術骨董ショー 2011年4月28日〜5月2日

DSC_3803C.jpg 毎年ゴールデンウイークの恒例になっているザ・美術骨董ショーが、今年も東京、芝公園の東京プリンスホテルで催されています。東日本大震災の影響で開催する事の是非も検討されたようですが、骨董・古美術の立場から経済活動を活気づけ、喜びを提供するために開催が決まりました。
 ザ・美術骨董ショーは代表である市河敬治さんがアメリカ滞在での経験を生かして発案。美術商が一堂に会して古美術品を買える場所を提供する事を目的として1986年から続いてます。お客様とスポンサー、出店者の三位一体となったよい関係が、今まで続けられている理由と、市河さんに話していただきました。
 出店者は国内外の美術・骨董店の総計約200店。東洋古美術、西洋骨董、書画、絵画、宝飾品、現代美術など、ジャンルが多岐にわたるのも魅力です。




DSC_3816C.jpg一柳堂 一柳堂(いちりゅうどう)のブースでは、備前の作家もの、初期伊万里の香合をはじめ、作家ものから古いものまで揃えています。石黒宗麿の茶碗など、垂涎の品も目を引きます。









DSC_3804c.jpg大閑堂 仏教美術で知られる大閑堂では、絵香合、蒔絵椀、文箱など日本美術の真髄が並んでいます。ひときわ印象的なのが阿弥陀仏。鎌倉〜南北朝の頃の作と伝わり、ふっくらとしたお姿にやわらかな笑みをたたえ、周囲の賑わいも仏さまのあたりだけは静寂に包まれているようです。


DSC_3811C.jpgロムドシン 西洋骨董のロムドシンは、5月7日〜16日に行われるマイセン展の告知を兼ねた展示。食器だけではなく、香水瓶や人形など、18-20世紀初頭のそれぞれの時代の名品が並ぶブースは見ごたえがあります。また、セーブルやミントン、ローヤルウースターなどの珍しい陶器はテーブルウエア好きなら見逃せません。








DSC_3833C.jpg愛香 アール・ヌーヴォーのガラス器が並ぶ愛香(あいか)では、幽玄な光を放つガラスに引きつけられます。たとえば、ガレのオレンジ色のランプは、夕暮れをイメージしたものとか。独特のマッシュルームのようなスタイルに高度な技法が駆使されています。愛香のもうひとつの看板がオルゴール。展示してあるドイツ製シンフォニオン社のオルゴールは、1890年頃の円盤式オルゴールで、細やかなロココスタイルの彫刻がみごとです。






DSC_3840C.jpg夢織 大きなブースが広がるギャラリー夢織は、ミュージアムクラスのアンティーク家具を中心としたボリュームあふれる演出。なかでも、ひときわ貫禄を感じさせるリエージュのワードローブは、1790年代にベルギーのリエージュで作られた家具で、対で作られたもう片方はブリュッセルの王立美術・歴史博物館で展示されているというほどの作品。硬質なオーク材に施された精巧な彫刻には驚かされます。







DSC_3825c.jpg冨江洗心堂 冨江洗心堂では、形の美しい和の古美術品が迎えてくれます。ご主人が形と景色を見て選んだものばかりで、古い焼物と調和する川端康成や会津八一の書との組み合わせが、空間に広がりと奥行きを醸し出しているのが分かります。

 今回で26回目を数えるザ・美術骨董ショー。例年と変わらずに開催する事で、現在と過去、未来とが結ばれていくと語る市河さん。会場にはいつも通り、骨董を探す熱気にあふれていました。
(2011年4月28日取材 編集部安藤博祥)


2011ザ・美術骨董ショー
2011年4月28日〜5月2日
会場 東京都港区芝公園 東京プリンスホテル