目の眼オンライン展覧会レポート
田中敦子が選ぶ、夏を彩る暮らしの手仕事展
「はなをおくる」
伊勢丹新宿店 本館5階・和食器プロモーション
8月3日(水)〜16日(火)
□
2008年、2009年と“日本の職人の手仕事”にこだわって催事をプロデュースした田中敦子さんが、2年ぶりに手仕事展を伊勢丹新宿店にて行なっている。前回と大きく違うのは、震災の後、少しでも明るい気持ちで日々を過ごせたらと、「はな」をモチーフにした作品を手がける作家たちに協力依頼し、「はな」ある手仕事に出合える場をつくったこと。以下、田中さんのメッセージである。
「なんでもない平和な暮らしが、あの日を境に大きく変わりました。
災害を受けた土地の人への心配や、いつまたくるかもしれない余震、原発事故の見えない先行きなど、知らず知らずのうちに、わたしたちの心は不安に支配され、その不安は暮らしにも影を落としています。
でも美しい道具と向き合うことが、心に余裕や豊かさをもたらしてくれることを改めて知る機会にもなりました。
とりわけ花のモチーフや色は、目に優しく映りました。
季節を伝える柔らかな花の、その美しさと儚さを、移ろわぬもののうちにとどめようとしたのが、花のモチーフの始まりでしょうか。
それとも、どんな状況でも美しく咲き誇る生命力への憧れの形でしょうか。
神仏への供物として尊ばれた花は、極楽のイメージでもあったでしょう。
いにしえから変わることのない花への憧憬。
祈りや、祝福や、励ましや。
そんな思いが伝わる21名の「はな」ある手仕事をご紹介、販売いたします。
田中さんらしい優しい手仕事が見れます。短い会期ですがどうぞ会場でご覧ください。
尚、5250円以上お買いあげの方に、特製のカタログプレゼントがあります。(目の眼編集部)
田中敦子
出版社を経て、フリーランスに。工芸、染織、きものを中心に、取材・執筆・編集・プロデュースを行なう。『江戸の手わざ ちゃんとした人ちゃんとしたもの』(文化出版局)、『きものの花咲くころ』(主婦の友社)他、編著書多数。