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「室礼三千」室礼教室だより その4「端午の節句」

 東日本大震災から一ヵ月、亡くなられたたくさんの方々を思うと本当につらい気持ちです。そして避難生活を続けておられる方々に心よりお見舞い申し上げます。
 まだまだ通常の生活に戻れる状態ではありませんが、被災された方へのできるだけの手助けと、日々の仕事と生活をきちんと続けていくことが、今の私たちがしていくべきことだと思います。
 先月の室礼は、花祭りの予定でしたが、地震直後でしたのでお休みとなりました。今月は5月の端午の節句です。
 室礼の前に山本先生より、「震災に遭われた子どもたちのためにも、祈りをこめて室礼しましょう」とお話がありました。

 昔、中国では3月3日や5月5日など、数字の重なる日は重日といって縁起が悪いと考えられていたそうです。その邪気を祓い、子供の健やかな成長を祈って、室礼をします。

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 まずは、端午の節句といえば、兜ですね。教室では、青・赤・黄・白・紫の奉書で、「奉書カブト」を折りました。陰陽五行によると、色にはそれぞれ意味があり、青は仁、赤は礼、黄は信、白は義、紫は本来は玄(黒)で智を意味するそうです。子供にもってほしい徳をこめて色を選びます。私は全部お願いしたいところだと思いましたが、そうした気持ちこそ邪気を招きそうですね。
 一つ色を選んで大きなカブト、もう一つ白で小さなカブトを折りました。私は黄色を選びました。人に信用される、人を信じることのできる大人になって欲しいという願いです。
 カブトは子供の頃に一番最初くらいに習う折り紙ですが、すっかり忘れておりました。そして、丁寧に気持ちを込めてというとなかなか時間がかかります。

 次にゼラニュームです。教室に入ったときに、ゼラニュームが用意されていたので、不思議に思っていました。ゼラニュームは徳川家の紋所になっているアオイ科の仲間だそうで、丈夫で青々とした葉が力強く、どんなに日照が続いても根が絶えない植物だそうです。「そのために、徳川の紋所にもなっているのかもしれませんね」と山本先生。「根は親、先祖を表わします。根が大事なので、根洗いをして、長い根を見せてください」ゼラニュームは代々のつながりを示しています。

 そして、粽(ちまき)。中国戦国時代の政治家、屈原(くつげん)が、失脚しても自分の意志を曲げず、正しい道を貫いた人物として崇められ、5月5日はその人の命日ということで、屈原にあやかって、わが子に強い意志を持ったまっすぐな子になってほしいと、粽(ちまき)が供えられるようになったそうです。
 「ちまきをきれいに作るのは大変です。できる人が今では少なくなりました」特殊な結び方のようで、五本が一組に結ばれていますが、私は実際に手にとってみるのもはじめてでした。

 そして、端午の節句の定番、柏餅。私もそうなのですが、節句はしなくても、この時期これだけは食べるという人も多いと思います。柏は冬に枯葉が落ちず、春の新芽が出てから散るので、親が子供が成長するまで守っていると考えられて、親が子を守る気持ちで、柏餅を供えるそうです。

 さて、今回はなかなか盛り方が難しい気がしました。「主役をきめて、向きをそろえるとまとまります」山本先生から一人一人直して頂きましたが、なるほど、それぞれの盛り方は変えずに先生が少し手を加えると、みるみる整って、きれいな盛り物になりました。私の盛り物も、写真撮影が今ひとつで、うまくお見せできませんが、先生に直して頂いて、きれいな室礼になりました。

 家に帰ってから、教室でのお話を思い出しながら室礼をしてみました。男の子と言えば、私には義妹夫婦に二人の甥がいるので、黄色をお兄ちゃん、白の小さなカブトを弟と考えたら、やんちゃな二人を思いだしました。茨城に住んでいるので、今回の地震では大変です。でも、お見舞いにいったら、とても元気で、相変わらずやんちゃだったのでホッとしました。お兄ちゃんは今年の春から小学生、大変な時期ですが、心配ばかりもしていられません。子どもたちが元気に健やかに育つように、がんばらないと! 私自身はたいしたことはできませんが、祈りと願いを込めました。(編集部 小林)

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山本三千子先生主宰
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