onlineロゴ2.jpg

骨董・古美術・工芸のポータルサイトmenomeonline

室礼教室ロゴ2.jpg

「室礼三千」室礼教室だより その10「七五三」

七五三1.jpg

 11月の室礼は七五三です。七五三といえば、いわずと知れた子供が三歳、五歳(男の子)、七歳(女の子)の時にお祝いをする行事ですね。きれいな着物や洋服を着た子どもたちが、手に長い千歳飴の袋をもって、お母さんやお父さんに手をひかれて神社にお参りをしている様子が目に浮かびます。

 平安時代、貴族は三歳までは男女ともに髪を剃っていたので、三歳で「髪置(かみおき)の儀」をして髪を伸ばすお祝いをしました。そのあと、男の子は五歳で袴を着けて大人の衣にする「袴着(はかまぎ)の儀」、女の子は七歳で着物につけていたひもをやめて帯にする「帯解き(おびとき)の儀」、とそれぞれお祝いをしたのだそうです。
 庶民の間に「七五三」がひろまったのは江戸時代。諸説あるようですが、徳川家光の四男徳松の成長を祈って、11月15日にお祝いをしたのが、11月に七五三のお参りをするようになったはじまりともいわれています。

 「昔は子供は七歳までは神の子と言われていました。神様に守ってもらえるようにと、髪をそったり着物にしるしをつけたりしていました。子供が三歳、五歳、7歳まで無事成長したことを神様にご挨拶に伺うのが七五三です」と山本先生。
 いつの時代でも子供の無事と成長を願う親の思いが、端午の節句やひなまつり、七五三といったたくさんの行事をつないできたのだと思います。
 七五三の室礼に盛られるのは、そうした親の気持ちを感じてほのぼのと温かい気持ちになれる愛らしいものばかりです。

 教室では色々な盛り物を用意して頂きました。
 もちろん、まずは千歳飴です。紅白の千歳飴と千歳飴を入れる長い袋。この袋は松の木をバックに、子供の髪型をしたかわいい笑顔のおじいさんとおばあさんがちゃんちゃんこを着て、ほうきと熊手を持った絵柄です。この図柄は、能楽で有名な「高砂」を描いていて、子供がこの老夫婦のように長生きできますようにという願いが込められているそうです。「昔からの図柄は格式があってやはりいいものですね」と山本先生。
 他には、お祝いのお赤飯と柿(嘉来)。括り猿(くくりざる)という紅絹(もみ)で作った猿を両手両足を一つにくくった「難を去る」の縁起物。女の子が帯の間にはさむ筥迫(はこせこ)。可愛いくみひもやかんざし、扇子。どれも子供らしくて可愛いものばかりで、しかもおめでたい意匠や形が入れられています。色彩も赤いものが多くて、「赤は血の色、太陽の色ですから、生命エネルギーを感じさせますね」といつも山本先生が言われるように、お祝いに赤色が多いのもちゃんと意味があるようです。

七五三2.jpg

 七五三は色々な盛り物があるので、かえって難しいですが、全部盛らなくてはいけないということはないそうなので、それぞれ思い思いに室礼をしました。生徒の皆さんめいめいにステキな可愛い室礼ができました。私は可愛いやさしい感じにと思って丸いお盆にしてみました。最初は全部お盆に盛りこんでしまいましたが、山本先生に直して頂いて、すっきり可愛い室礼ができました。となりの水引の花も一緒に撮影させて頂きました。紅白の水引には、もちろん儀式の意味があります。

 私は子供がいないこともあって、これまで七五三を気にしたことが全くありませんでしたが、七五三の室礼をしてみると、子育ての大変さや親の愛情の深さというのを考えさせられました。あらためて自分を育ててくれた両親に感謝の思いがつのりました。生活スタイルが多様化して、今はいろいろな家族の形があります。子供のいない夫婦や独身の方も増えています。七五三は人生の通過儀礼として、本来は一生に一度子供のために行う行事ですが、十一月の歳時記として、室礼として盛るのも素敵なことだと思います。
(編集部 小林后子)


山本三千子先生主宰
menusub_r1_c1.gif室礼三千のホームページ

07-12.jpg