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「室礼三千」室礼教室だより その11「冬至」

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 昨年の12月から通わせて頂いた室礼三千基礎科教室。早いもので1年がたち、とうとう最後の回になりました。
 一年の締めくくりは、冬至です。一年で一番日が短くなる冬至。ですが、それからまた一日一日と昼が長くなり、太陽が復活してきます。「昔の人たちは、お天道さまで1年を区切っていました。冬至正月、立春正月というように呼ばれますね。冬至のあと、体感で最も寒いのは45日後だそうです。大寒がそれにあたります。冬至は寒さにそなえて体を温める行事でもあります」。かぼちゃやあずき、唐辛子は体を温める食材として古くからよく知られていました。昔の行事はとても合理的なんですね。

 今回、室礼をしたのは、南瓜(かぼちゃ)、小豆(あずき)、柚子、唐辛子。それに12個の丸餅です。
 南瓜と小豆は冬至に食べるものとして、今でもいとこ煮にして冬至に食べるおうちもあると思います。私も小学校の給食で、冬至のメニューとして出ていた記憶があります。
 南瓜は「南」という文字が暖かさを、黄色の色が厄よけに、つるになるので、代々の繁栄祈願にもなる縁起物だそうです。小豆ももちろんお祝いごとにはよく登場しますね。赤い色が厄よけにつながります。柚子は香りと黄色の色、唐辛子は赤色が邪気をはらうとしてお供えされます。

 12個の丸餅は、山本先生から「日本は稲作文化で、お米が種もみから収穫できるまでを一年と考えていましたから、米=餅で一年という時間を表現してみましょう」と説明していただきました。「お天道さまのおかげで、今年一年も成長、生活できることができましたと、お供えしたんですね。ご自分の一年を振り返って室礼してみてください。生徒さんの中には震災の3月を一番下にして徐々に上向きになる形として、盛られた方もいらっしゃいましたよ」。
 私もそんな豊かなイメージで元気になる室礼がしたいなと思ったのですが、なかなかひらめかず、オーソドックスにお餅は丸く盛りました。

 最後に、山本先生が「どんな悪いことがあっても底についたら必ずあがる。冬至がきたら必ずまた春がくるわけですから、宇宙、自然がそれを教えてくれているんですね。そこから精神性がみつけることができます。精神・心があって行動がおき、事がなされます。それぞれの心があって、決まった形というのはありません。ですが、人々が祈りと感謝の心を表現しようと行ってきた事、すなわち「年中行事」でつながってきた形は残していきたいですね」と言われるのを聞いて、とてもよいお話だと思いました。

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 今年は、3月に東日本大震災があり、色々なことを考えさせられました。助かったとはいえ、ご先祖のお墓をすべて流され、それを思うとつらくて夜眠れなくなってしまうという女性の話などを報道で拝見すると、人の心にとって大事なことは、衣食住ばかりではないと実感します。
 一年間、室礼教室に通わせて頂いて、日本人なら小さいときから自然と覚えているお正月やひなまつり、お盆、お月見、七五三など色々な年中行事すべてに、自然への畏れと感謝、ご先祖の供養などが込められていることが、まだまだ少しだけではありますが、身近なものとして肌で感じることができました。この感覚と感謝の気持ちを忘れずに、日々過ごしたいと思います。
 山本三千子先生、室礼三千の皆さん、そして読んで下さった皆さん、一年間ありがとうございました。
(編集部 小林)


◎月刊「目の眼」新年号(11月27日発行)から一年間、「室礼三千」山本三千子先生の室礼が口絵として掲載されます。毎号、毎月の行事に合わせた素敵な室礼がみられます。ぜひご覧下さい。

山本三千子先生主宰
menusub_r1_c1.gif室礼三千のホームページ

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