野辺の民藝
田中 孝(摘み・活け・撮り・語る)
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(9)中近東生まれの灯火器
「お前さん、どうしたんだ。しばらくぶりじゃないか」。
「ぼく、別荘にこもっていたんだ」。
「なにっ、別荘とはムショの別名だろ。ははーん、セクハラで収監されたにちがいない。花好きが高じて、人間様の花に手を出したんだろ。セクハラ収監も、91歳なら高年齢記録でギネスものだ」。
「ちがう、ちがう。別荘は空調完備。三食美食。外出OKだ。これが監獄なら、無期懲役希望ワンサ。往生するよ。実は入院、手術だったんだ」。
そんな次第で、読者の皆様にはご迷惑をおかけしました。手術のほうは100%成功ですが、91歳ともなると、それを機に何が起こるかわかりません。現に今も体調不良に悩まされております。そんな次第ですので、今後は今まで通り毎月書けるかどうか……。でも、読んで下さる方がある限り、書き続けます。
退院後の第一作をお目にかけましょう。「早く元気になってください……」と、美しい花を頂きました。中に面白い花があります。アフリカ原産のローゼルという名前だとか。
器は、花に合わせた地方の民器がいいでしょう。だが、アフリカなんて、ぼくの守備範囲外です。色々思い巡らすうちに、ありました。多分、中近東生まれのごく古い鉄の灯火器が。同じような灯火器がエジプトにもあった、と識者から教えられました。早速活けてみたのが左の写真です。「中近東は広いぞ、どの辺でいつ頃生まれたのか?」と聞かれても、ぼくにはわかりません。今回はご勘弁を。(福岡市在住)
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