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地域の信仰の対象として代々受け継がれてきた仏像。いつの時代でも修理が行われて次の世代へと受け渡されてきました。現代の受け渡す役割を担っているのが、仏像修復師。新潟の工房で修理を続けている松岡誠一さんに仏像の修復について語っていただきます。

(1)「仏像の修復とは」

2019-08-22

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 少しずつ仏像修復について書かせていただくことになりました。私自身は東京出身なのですが、現在は新潟県田上町で活動しています。
 最初にいただいたお題は「仏像の修復とは」。短くまとめるのは、なかなか難しい。

 京都や奈良のお寺や、博物館に展示されている御仏像を拝観された時に、ピカピカに真新しくは修復されていないのに気付かれると思います。これは、文化財としての修復理念に基づいて、歴史を尊重した修復が行われているからです。でも、そういう修復をしている工房はあまり知られていません。どこに行っても珍しがられます。

 御仏像は信仰の対象ですので、完全性を求めることは一概には否定出来ないのですが、積み上げられてきた歴史が覆い隠されてしまい、非常にもったいないことになってしまいます。なので、どの御像にも文化財的な修復を行って欲しいと考えています。

 修復する前に魂抜きの儀式をしていただくなんていうのも、他の文化財や美術品にないことです。古い御像であればたいがい何回か修理を受けていますし。ただ美術品として修復するのではなく、古くからの人々の思いも繋げていくこと。これがこの仕事で大事な部分で、面白いところです。

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 そこれまでの長い期間仏像を護ってきたのは、お寺の人であったり、地域の人です。そしてこれから守っていかれるのも、その皆さんです。修復家が護っているわけではありません。極端に言えば、壊れていたとしても周辺の皆さんがきちんと見守っていれば、御像は伝世されていきます。そのお手伝いをしているに過ぎません。

 しかしながら、修復というのは御像の歴史の中ではほんの一瞬であっても、大事な出来事になり、御像のその後を左右します。関心を持ってもらって、大事にされるきっかけとなればと思い、修復や調査・研究を行っています。いい手渡しを心掛けています。

 修復中は、御像を作った人々や修復した人々と対話し、修復後には、胎内に修復銘札を納入して100年、200年後の人と対話します。そして、私の名前もここに書き込んでいただきますので、100年、200年後の人に悪口を言われないような仕事をしなければなりません。こんな長い目で見た責任を負って仕事をしています。

仏像の修復とはそんな感じの仕事です。

写真は木造不動明王坐像(江戸時代)
解体修復し、表面のクリーニングと剥落止めで凄みのある表情が蘇りました。

松岡誠一:仏像修復家。先祖が信仰し守ってきた仏像・神像を次の世代に手渡すために修復を行う他、被災した御像の応急修復ボランティアや地域の文化財の保存を支援する活動など。活動は幅広い。東北芸術工科大学(山形市)芸術学科 文化財保存科学コース卒。連絡先は下記リンク参照。
仏像の修復ホームページ
地域歴史文化財保存支援ホームページ

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その六 カフェ ヴィオロン

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その七 noma

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その八*番外編 スターネット大阪~かぐれ

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その九 菅藤造園

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その壱拾 洛風林